合理主義的グルメブログ

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厳島行雄「目撃証言の心理学」を読んだ

数ヶ月前に友達から借りた本をやっと読みました.

最初に読んだ漫画が「名探偵コナン」であったこともあって,推理小説や推理ドラマとか大好きです. その影響もあって,今回の「目撃証言の心理学」に興味を持ちました.

目撃証言の心理学

目撃証言の心理学

全体的には,心理学の教科書的な感じでした. 大量の被験者実験事例や,文系分野とは思えない図表が多用されるところとかが,心理学っぽさを出してました.

本全体を通して,目撃証言はストレスや質問の仕方など,様々な要因で変わってしまうものだと主張しています.

印象深かった部分は,4章1節「スキーマ」です. 認知心理学におけるスキーマの考え方は,割愛しましが,以下の抜粋を見ればなんとなくわかると思います.

事が重大であれば「わかりません」ではすまされない.そこで,スキーマが働く.たとえば「中年のサラリーマン」を目撃したというのであれば,本当にそれを見て記憶しているかどうかは不確かであるものの,「髪型は七三分け,やや丸みを帯びた輪郭,眼鏡をかけていて,グレーの背広,腹が出ていました・・・」などと供述してしまうのである.

このスキーマの「スクリプト」と「入れ子構造」という特徴から,証言に誤解を与えたり,認識の齟齬が発生する仕組みには非常に腑に落ちた.

また,8章の「子どもの証言」も面白かった.

よくドラマや小説で,刑事が子供の証言を蔑ろにするというシーンがあるが,私はこの判断に毎回,非常に疑問を覚えていた. 子供や大人など,年齢によって証言の信憑性が変わるとはどうしても思えなかったし,そうした経験をしていなかったからだ.

実際にこの本でも,

最高裁判所は,まず次のように述べている.(中略)「(証言)能力の有無に年齢的な制限はない.(中略)」 との記述がある.

しかし,他の例でも見られるように,周りの大人の振る舞いによりその証言が歪められる可能性もある. つまり,子どもの証言について,この本は,p87でこのように主張している.

これらの研究は,子どもの証言能力が証言の聴取の仕方に大きく依存することを示している.